香りビジネスをしていると、お客様より「少し甘さが気になる」「甘くない香りが欲しい」と言われることがあります。果たして、「甘い香り」とは何でしょうか?
私は、以前に香料会社の営業をしていた時のことです。メーカーの担当者から「ちょっと甘さを抑えて改良して欲しい」と言われた時がありました。それをそのままperfumerに伝えたところ、「どんな甘さを抑えたらいいんだ?甘さって言ってもいろいろあるだろ?それでも香料会社の営業か?もう一回聞いてきなさい!」と怒鳴られました。
“甘さ”といっても、香料原料にはさまざまなものがあります。Vanillin、Ethyl Vanillin、Maltol、Ethyl maltol、Coumarin、Musk類、エステル類(Fruityな甘さ)、レジノイド類、Amber系、Powdery系…… また、1つの処方の中でも、複数の要素の“甘さ“の原料を入れることも多々あります。
香りは嗜好性を伴うので、人によって感じる甘さが違ってきます。なので、お客様がどの部分を甘いと思っているのか、的確にお聞きするのが重要になるのです。
それをお聞きし、Perfumerに伝え、perfumerは処方中のどの原料がそれに当てはまるのか、どれくらい減らすのか、減らした分を全体としてどうバランスを整えるのか、コストをどう調整するのか、という膨大な作業が伴ってきます。場合によっては、全体を再構成することもあります。
担当者の言っている“甘さ”が思っていたのと違っていて的外れな改良を行うと、行ったこの膨大な作業が無駄になってしまいます。
では、香料原料に精通していない人からは、どう聞き取ればいいのか?甘さであれば、食べ物(デザート)に例えると伝わりやすいです。
甘さ以外の香調でも、味覚に例えたり、香水など具体的な商品名で例えたり、伝え合う人たちで共通用語をどう見つけていくかが香りを言葉で伝えるカギになります。