メーカーが新製品の香りを最終的に決める方法は、大きく2つに分かれます。メーカーの決裁者が決めるか、パネルテストの結果で決めるか。
前者は、決裁者が過去の経験や自分のセンスで「これがいい」と決めるので費用も時間も少なく、わりとシンプルに決まります。後者は、パネラーを集め、会場を用意し、サンプルを用意し、1人1人説明して、終わったら集計して…程度の差こそありますが、非常にお金と時間がかかります。
パネルテストは外資系企業が行っているのが多く、マーケティング技術も進んでいるので、大きな会社ほどターゲット層を中心に調査をするということが多くなってきているようです。そのテストの結果で、「香りの嗜好性と商品としての価値の違い」を再認識した事例を紹介いたします。
当時在籍していた外資系香料会社で、市場商品のシャンプーの嗜好性調査のために、一般の消費者にパネルテストを行いました。人数は、100人前後だったと思います。
そのテストは、ブランド名・製品名などがわからない状態で、A,B,Cなどの記号で「どの香りが好きですか?」「それはなぜですか?」などという質問に答えていただくものでした。
我々は、売上1位のLUXか、CMでインパクトのあるTSIBAKIが、香りが好きという1位になると思っていたのですが、嗜好性に偏りがなく(いわゆる万人好み)、複雑な香りではない単純なグリーンアップルの香りのパンテーン(P&G)が嗜好性一番になりました。
その時のテストはブラインドテスト(メーカー名もブランド名、香り名もテスターに教えない)だったので、どのような商品かを伝えたテストだったら、結果は違っていたかもしれません。
その結果で改めてわかったことは、その商品の香りが好きなのではなく、そのブランドとして(ブランドコンセプト・世界観や時代背景も含めて)その香りの商品が好きであるということでした。なので、売れる商品のためには、コンセプトにあった香り開発・商品開発が大切だということです。