香料の開発①

これは、10年くらい前に私が香料会社に勤務していた時の話です。メーカーが新しく香りつき商品を企画するときに多いのは、まずその商品の「コンセプト」、「仕様」、「基材・アプリケーション」、「価格」、「ターゲット層(男女、年齢など)」、「ベンチマーク」、「香り」などを決めます。この時の「香り」は、シトラス、ハーブ、フローラルなど大まかな香調だけのパターンが多いです。

ある程度企画案が決まった段階で、メーカーは香料会社に依頼をかけます(「ブリーフ」という)。香料会社は、その内容から香りづくりを始めます。その内容は例えば、「ヨーロッパの爽やかな新緑をイメージできるグリーンフローラルの香り」といったようなものです。

グリーンフローラルと言っても、どの原料(香調)をメインとして、アクセントをどう取り入れて、どういう比率で処方をつくるかということになります。使用する原料は処方により異なりますが、だいたい20100種類以上になり、膨大な作業になります。

また、香りを開発する際の一番大きな要素として、「メーカーの誰をターゲット」にするかが大きな問題となります。

メーカーの担当者

香料を依頼してくるメーカーの担当者の思い入れは強いですが、最終的に香料を決定する権限はあまりありません。

担当者のチーム

一時候補をスクリーニングする際に、担当者の上司を含めたチーム(部門)で香りの評価をします。そこには、チームの傾向が出ます。

③決裁者

担当者、チームが決めても、実際の商品にしたときに、売れるかどうかを判断するのは、やはり決裁者。しかし、意識しすぎると、一時スクリーニングを通過することもできません。

パネルテストのパネラー

a. 一般の方(使う頻度に関係なく、調査のためにランダムに集めたパネリスト)
トレンドや一般的な嗜好性を意識して開発
b. ロイヤルユーザー(いつも、そのメーカーの商品、ブランドの商品を使っている方)
現行商品のラインナップを考慮した開発)

どのターゲットを考慮するかは、香料会社の営業が判断することですが、開発にあたってはそのプロジェクトのチームの営業・perfumer・エバリュエーターが、試行錯誤しながら何回も改良をして、メーカーのご意向にあった香料をつくっていきます。

商品を販売するメーカーの立場では、「売れる香り」を作ればいいのですが、通常、メーカーは何社にもブリーフを出しますので、香料会社のperfumerの立場からすると、競合他社に「勝てる香り」を作らなければなりません。ここがperfumerの腕のみせどころです。

こうやって激戦を勝ち取った商品がドラッグストアなどの棚に並ぶのはとてもうれしいものです。しかし、商品によっては半年くらいで棚から消えていくものもあります。

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